音響基礎知識3/マイクの種類と特性

2019/04/21
 
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カズノコ
カズノコです。 趣味は自主映画制作、写真撮影、サブカルチャー開拓、銭湯です。 映像編集(After Effects,Premiere Pro)や画像編集(Photo shop,Illustrator)についての情報を発信しています!

カズノコ(@kazunokoblog)です。今回は、マイクロフォンの基礎知識として、「マイクの種類と特性」について解説します。レコーディングの際、音響振動を電気信号に変えるマイクロフォンは最も基本となる機器ですのでこの機会に一度おさらいしてみましょう。

ダイナミックマイクとコンデンサーマイク

まずは、最も一般的に使われる二つのマイクの種類について解説します。

ダイナミック・マイクロフォン

ダイナミックマイクは、人の耳では鼓膜に当たる「ダイアフラム」と呼ばれる振動板と、その中央に取り付けられたコイル、そしてそれを挟むように置かれた磁石から構成されています。ダイナミックスピーカーをそのまま小さくしたような構造になっていて、音響信号と電気信号の変換のプロセスを逆にしたようなものです。

ムービングコイル型

振動板(ダイアフラム)という音の振動を察知する板の磁気内にボイス用のコイルが設置されています。電磁信号の原理によって、音響振動に比例した電気信号(音声信号)を発生させる仕組みです。このように磁界中に置かれたコイルの動きによって発電する構造のことを「ムービングコイル型」と言います。

振動板(ダイアフラム)はポリエステルなどのプラスチックの薄膜を直径20mm前後のドーム状に加工したものが多いです。そして、ボイスコイルはボビン(円筒)に極細のエナメル線が巻かれたものです。

特徴として、丈夫で温度や湿度などの気候条件による制約が少なく、取り扱いも簡単です。野外ステージのPAでの使用や、カラオケのハンドマイクとして最も適したマイクです。大入力に強いため、打楽器やロック系のギターアンプなどのような大音圧の収音には欠かせないものとなっています。使い勝手の良いマイクです。基本的に前方にのみ感度のあるような設計が多く「単一指向性(カーディオイド)」が主流です。

反面欠点として、振動板にボイスコイルを接合した構造上、感度が低いです。周波数特性の両端で感度が落ちる傾向にあります。製品開発の際、振動板に直接ボイスコイルを蒸着し質量を軽減させたり、小型で高性能な希土類磁石を使用したり、新素材の採用といった対策がなされています。

リボン(ベロシティ)型

マイクの種類の中でも最も歴史が古く、周波数特性も優秀なことから、放送用や舞台(ステージ)用と幅広く使われています。

構造は、数ミクロン(μ)のアルミニウムでできた幅2mm程度のリボンを強力な磁石の間に吊り下げたものです。このリボンに振動が伝わり、電気信号へ変換されます。

ムービングコイル型の振動板(ダイアフラム)とボイスコイルの役割を一挙に担うのがリボンです。歯切れの良い音色が特徴的なマイクです。ナレーションや、琴・三味線などのような伝統的な弦楽器の収音に向いています。ブロードな収音特性を生かしたウッドベースやサックスソロの収音でも良い結果が期待できます。

振動板の役割を担うリボンは前後方向に同じ感度を有しており「双指向性」(フィギアエイト)と呼ばれる指向性を持っています。振動の進行する速度に対してリボンが反応するため、ベロシティ(速度)型とも呼ばれます。

また、リボン型マイクには「近接効果」と呼ばれる現象が顕著にみられるので注意が必要です。「近接効果」とは、音源とマイクロフォンの距離が近くなると、低域の周波数帯が上昇する現象のことです。

コンデンサー・マイクロフォン

コンデンサーマイクロフォンは高級なマイクとして有名ですが、なぜこのように高価なのでしょうか?その理由は原理にあります。

「コンデンサー」とは蓄電器という意味合いがあります。ダイナミックマイクでは、音の振動に対して受動的(パッシブ型)な構造ですが、コンデンサーマイクはマイク内部に増幅回路を有しており、能動的(アクティブ型)な構造になっています。

2枚の並行した金属板に直流電流をかけ、電極間に負荷をかけ蓄電します。この2枚の金属板の1方を振動板(ダイアフラム)として置き換えています。

振動板として使われるフィルム側が「可変電極」と、もう一方がバックプレートと呼ばれる「固定電極」で構成されています。ニッケルなどの薄膜を絶縁した上で、金属板に固定したり、薄いマイラーなどのフィルムに金を蒸着させたものなどがあります。これに直流電圧をかけ、フィルム側の動きに応じた電荷の変化を電気信号にして取り出しています。この電極間にかける電圧は通常「数10V〜数100V」の直流(DC)電圧です。

特徴として、構造上1枚の軽くて薄い振動板で構成されているため、周波数特性の良好な音が収音できます。 そのため、レコーディング用や測定用にも使用されています。

また、ごく微量の電荷の変化をを安定した電気信号として取り出すための増幅器(ヘッドアンプ)が必要で、これらを動作させるための直流電源も必要です。最近はDIN規格(ドイツ工業規格)によるDC48Vのファンタム給電方式のものが一般的です。

さて、コンデンサーマイクの欠点について解説します。欠点は湿度や汚れによるカプセルの絶縁低下、ノイズの発生や特性の劣化があることです。これは、微量の電気容量に対して高いインピーダンス(抵抗値)を必要とするため、繊細な構造になっているためです。

エレクトレット型

廉価版として、「エレクトレット型」のコンデンサーマイクが存在します。これは、振動板(ダイアフラム)に「エレクトレット現象」という原理に基づいた蓄電器に必要な電圧を不要としたものです。そのため、内部のヘッドアンプに要する電源1~3Vのみを乾電池で済ませるだけで済んでいます。

ラジカセや機器組み込み用のマイクとして多く使用されています。カメラに直接つけるマイクでも多いように感じます。

「エレクトレット型」は特徴として、通常のコンデンサーマイクに比べて安価な割に特性も優れているので普及型として発展を遂げています。

特殊なマイクの種類

その他にも様々なマイクの種類が存在します。例えばライブの収音用や、ワイヤレスマイクです。下記にそれぞれ説明を記します。

バウンダリーマイクロフォン(BLM、PZM)

BLM(Boundary-Layer Microphone)は最も新しい部類に属します。一般的には「バウンダリーマイク」と呼ばれています。これは、一般的には床や壁面、会議室の机の上などに貼り付けるようにして使われるものです。平面構造のため、舞台やテレビ収録のようなマイク写りの防止に繋がっています。

構造的には、15cm程度の正方形の板の中心に無指向性のコンデンサーマイクを埋め込んだもので、壁などに装着することで、直接音に対する間接音の跳ね返りによる干渉を防いでいます

PZM(Pressure-Zone Microphone:AMCRON)は、BLMの動作原理と似ています。違いは形状です。PZMは無指向性で半球状になっています。

BLMやPZMなどのバウンダリーマイクは、録音では舞台・テレビのトークショーなどの収音が楽になり、スカイプ会議の音声出力に用いられることもあります。最近の会議室でスカイプ対応している場所には多く設置されているのではないでしょうか。

ワイアレスマイクロフォン

ワイアレスマイクロフォンは、マイクロフォンとFM送受信機を組み合わせたもので、今やショービジネスや映画収録の世界では主流な機材になっています。

ワイアレスマイクは大きく分けて2種類あります。一つ目は、送信機とマイクが一体型になっているものです。二つ目は、マイクと送信機が分離し、好みのマイクに合わせた使い方ができるタイプのものです。

ステージ上での使用の場合はダイナミックマイクロフォン小型ピンマイクの場合(映画撮影やロケ撮影の時など)はエレクトレット型のコンデンサーマイクロフォンが使われます。

電波法対応型ワイアレスマイクについて

送受信が必要なワイアレスマイクでは、電波法に対応する必要があります。これにはさらに種類があり、A群、B群、C群があります。業務用として使用できる品質のものはA群とB群です。A群は免許の申請が必要です。

ステレオマイクロフォン

ステレオマイクロフォンとは、1つのボディに対して2つのマイクロフォンを内臓したものです。クラシックホールでの収音のメインマイクとして欠かせないものとなっています。

構造は、特性の同じ2つのカプセルを上下同軸になるように配置したものです。1本のマイクでステレオ収音ができるため「ワンポイント・ステレオ・マイクロフォン」とも呼ばれています。なお、ステレオマイクロフォンの使い方には2つの方式があります。

X-Y方式

両方のカプセルを単一指向性にし、2本のマイクロフォンを同軸上に立てた場合を同じ使い方にする方式です。

特性として、2つのユニットが同軸上にあるため、L/Rのチャンネル間で隔たりなく位相のズレが少なくバランスがとれた収音が可能です。しかし、ステレオの広がり感に欠けるという欠点もあります。

M-S方式

「Mid-Side」の略で、M側を単一指向性にし、S側をM側に対して90度ズレた向きで双指向性にする方式です。

単一指向と双指向の出力レベルを調整することでL/Rのチャンネル間の広がりをコントロールすることができます。一般的にホールではM-S方式が使われることが多いです。

ダミーヘッド(Dummy Head)

ラジオ・ドラマ・特殊効果を狙った録音に使われています。バイノーラル録音という人間の耳と同じ位置にマイクロフォンをつけて収音する方式です。再生はヘッドホンを用いて行われ、独特な臨場感が得られる。

球状マイクロフォン

直径20cmほどの木製のボールにマイクロフォンが埋め込まれているもので、ダミーヘッドのバウンダリーバージョンともいえる構造をしています。クラシックの本場ヨーロッパで支持を得ているマイクロフォンです。実績のあるメーカーであるNEUMANからも数種発売されています。

素直でクリアなステレオ感が特徴です。

楽器用マイクロフォン

ピックアップに近い働きをするもので、楽器の胴やブリッジの部分につけて、振動を直接拾う形式が多いです。広義には、エレクトリックギターやベースなどのピックアップも含まれるが、主にはアコースティックギターやバイオリンやウッドベースの生音の収音に使うマイクロフォンです。

マイクロフォンの指向性

マイクのカタログなどに規格表が載っていると思います。指向性は音源の方向によるマイクロフォンの感度を表したものです。その種類と特徴について下記にまとめます。規格表などによく載っている感度曲線のことを「ポーラー・パターン」と呼びます。

単一指向性

マイクロフォンの正面に最大感度を持ち、後方が最低感度となる特徴を持っています。現在使われているマイクのほとんどが単一指向性です。一般的にクリアに収音する場合に使用されるポーラー・パターンが心臓のような形を描くことから「カーディオイド(cardioid=心臓形)」と呼ばれています。単一指向性を分類すると通常のカーディオイドを除くと下記の3パターンが存在します。

スーパー・カーディオイド

カーディオイドの特性をさらに鋭くしたものがスーパー・カーディオイドです。側面の感度を落とす代わりに背面の感度をわずかに上げています。

音の回り込みを防ぐ効果が期待でき、特にハンドマイクのようなステージ上での使用で、ハウリングマージンを稼ぐことができます。

ハイパー・カーディオイド

スーパー・カーディオイドの特性をさらに強調したもので、側面の感度をさらに低下させています。

テレビドラマや映画のセリフ録りのような、音源から離れたオフ気味の収音の際使用されることが多いです。通常、ブームに吊って使用されます。

超指向性

単一指向性の中で最も鋭い指向性です。この指向性特性をもつマイクロフォンを通称「ガンマイク」と呼びます。極めて狭い範囲の角度に感度を持っており、背面と側面からの音をほとんど拾わないようにできています。

このような超指向性マイクは、スポーツ実況で音源が遠く接近できない場面ニュースの報道取材に多く使用されています。

特徴として、離れた音を明確に拾うため、前面の感度の向上を優先させ、周波数特性を少々犠牲にしていることが挙げられます。オーケストラや音楽のような広い周波数帯域をもつ収音に関しては注意が必要です。

双指向性

前面と後面(背面)に等しく感度をもつパターンです。「8の字パターン」「両指向性」などとも呼ばれています。

マイクロフォンの前後に音源がある場合に使用されます。主に対談番組やラジオの掛け合いや劇場中継に使われています。

無指向性

360度全周に等しく感度を持っており、特定の方向の指向性はないため無指向性(オムニディレクショナル:omnidirectional)と呼ばれています。

特徴として、クラシックのような大編成のオーケストラや、ホールやスタジオにおいて残響を必要とする場合に自然な収音が可能です。しかし、全方向に感度があるため、ハウリングに弱くPAでの使用には向いていません。

まとめ

今回はマイクロフォンの種類とその特性、また指向性について代表的なものをまとめました。マイクロフォンのカタログや規格表でわからなくなった時は是非読み返してみてください!

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