「刀で切られた軌跡」のようなスライスアニメーション/Adobe After Effects CCの使い方

カズノコ(@kazunokoblog)です。今回は、Adobe After Effects CCの標準エフェクトでアニメ風の「刀で切られたような軌跡」(スライスアニメーションエフェクト )を作る方法について解説します。最近アニメーション風な動画の演出が増えてきたので、改めてアニメーション風のエフェクトの作成方法について解説します。
もくじ
スライスアニメーションエフェクトを作成するメリット
スライスアニメーションエフェクトを作成するメリットとして下記3点があげられます。
- シェイプレイヤーの基礎知識がわかる。
- テキストトランディションと相性が良い。
- コンポジションを雛形として流用し、応用するのが簡単
1について、シェイプレイヤー はモーショングラフィックスでよく使用する概念です。これが使えると、手書き風な図形や滑らかな曲線、規則的な図形のアニメーションの形を作ることがきます。2について、テキストが現れたり消滅したりするモーションとして組み合わせると効果的な演出になります。3について、背景が透過している素材として書き出しておくと、他の動画の編集の際、流用することができます。
使用するエフェクト
今回使用するエフェクトは、下記の4つです。
線
基本的にはマスクやベジェパスを利用して線を生成するエフェクトです。illustratorやPhotoshopなどで生成したパスを使用する際はパスをトレースして使用します。今回は、パスをAfter Effects内で作成するので、パスのトレースは必要ありません。線が現れたり消えたりするアニメートを描画することが可能です。今回はその機能を使います。
CC Force Motion Blur
動きのブレを再現するエフェクトです。レイヤー中の動いているオブジェクトに対して動きのブレ(モーションブラー)を再現します。適用するレイヤーには、フレームブレンドを使用可能にすると効果的です。
塗り
マスクを単色で塗りつぶすエフェクトです。ぼかしや反転の設定を行うことができます。[塗り]と[線]のエフェクトを併用する場合、エフェクトの適用順で表示が決定されます。
グロー
光を拡散し発光させるエフェクトです。イメージの明るい部分と周囲のピクセルをさらに明るくすることで、イメージが明るく光を拡散しているような効果を生成します。
作成手順
それでは早速、スライスアニメーションを制作していきます。
コンポジション作成
まず、5秒間のブラック平面のコンポジションを作成しましょう。
軌跡を作る(シェイプレイヤー )
次に、シェイプレイヤー で軌跡を作ります。[レイヤー]<[シェイプレイヤー]からシェイプレイヤーを作成します。
今回はベジェパスを作成するので、ペンツール(下図参照)を選択しておきましょう。
ペンツールを選択し、[線]はなしにしておきます。これは、altキーを押しながら線の色のところを何回かタッチすれば変更することができます。
早速ベジェパスを使用して図形を描いていきましょう。刀で入られたような滑らかな曲線を描くには下記のような手順で行います。
シェイプ作成手順①:点を打つのは2箇所のみ
2箇所に点を打ち、最後にはじめ打った点にもう一度タッチし、直線のシェイプにハンドルがついたパスを作成しましょう。
シェイプ作成手順②:4つのハンドルを操作する
手順①を行うと、ハンドルが4つできるので、その4つを操作し、曲線の形を整えます。ハンドルの先端を[altキー]を押しながら調整を行いましょう。
図形が完成したら、[Command]+[shift]+[C]でプリコンポーズしましょう。
名前は[shape]にしました。
マスクパス+線エフェクトでアニメーション作成
マスクパスを作成
次に、プリコンポーズした[shape]のコンポジションに対して、マスクパスを作成します。shapeのコンポジションを選択した状態で、ペンツールを使用し、ベジェパスを作成します。
ベジェパスは、[shape]のコンポジションで作成した形を辿るような曲線にしておきましょう。
こんな感じです。
線エフェクトを適用
次に、[エフェクト]<[描画]<[線]から、線エフェクトを適用します。
- パスは、先ほど描いたマスクが適用されているかを確認してください。
- ブラシサイズは描画した図形が隠れるくらいのサイズにしておきましょう。
- ブラシの硬さは100%にしておきましょう。
- ペイントスタイルを[元のイメージを表示]に変更するのを忘れないようにしましょう。
開始と終了のキーフレームを打ち、線が出現し消滅するアニメーション作成
開始、終了を0から100へ変化させることで、出現し消滅するアニメーションを作成することができます。5フレームほどの間隔で変化させると刀で切られたようなスピード感のあるアニメーションになります。
シェイプレイヤーで装飾
次に、三日月型のシェイプの周りを火花が散るような装飾を施すためにシェイプレイヤーで線を描いていきます。
今回は、4種類のシェイプレイヤーで火花を表現します。
長方形1
まず、1つ目です。シェイプレイヤーを作成し、長方形の図形を作成します。
変更するプロパティは下記の通りです。5フレームのアニメーションを作成します。
※サイズの隣の∞マークを解除するのを忘れないようにしましょう。
リピーターは、[追加]のボタンをクリックすると出てきます。
アニメーションの位置を調整し、軌跡の真ん中で弾けるようにしましょう。そして、アニメーションの開始と終了でレイヤーを切っておきます。
これで長方形①完成です。
長方形②
まず、先ほど作った長方形を複製します。
下記のプロパティを変更しましょう。
- [リピーター]<[コピー数]:4
- [トランスフォーム/リピーター]スケール:65%
- [トランスフォーム/リピーター]回転:97°
これで長方形②は完成です。
ギザギザ①
次に、火花が散るギザギザを表現する線を描きます。シェイプレイヤーを作成し、ペンツールでギザギザの線を描きましょう。
線は、今回2ptで描きました。次に、[追加]から[パスのトリミング]を選択しましょう。
パスのトリミングは、開始と終了のパスをキーフレームで調整することによって動きをつける機能です。下図のように動かしてみましょう。
あとはシェイプレイヤー のトランスフォームの位置から軌跡の位置に合わせて完成です。
ギザギザ②
次に、方向の違うギザギザを作ります。先ほど作ったギザギザ①を複製しましょう。
そして、シェイプのトランスフォームの回転を163°に変更しましょう。
これで完成です。回転はお好みで変更可能です。
以上で、基本的なアニメーションは完成です。できたコンポジション内は下記のようになっていると思います。
これらをプリコンポーズ(Command + Shift + C)しておきます。
エフェクトでお化粧
最後に、エフェクト[CC Force Motion Blur]、[塗り]、[グロー]で全体の形や動きにお化粧します。
CC Force Motion Blur
下記プロパティをご参照ください。
塗り
塗りは、好みの色に塗りつぶすためのエフェクトです。カラーから、好みの色に変更しましょう。
グロー
グロー半径、グロー強度、カラーなどを調整し、光らせてみましょう。下記プロパティ参考です。
以上の設定を施すと、このように変化します。
以上でアニメーションの全制作完了です。
書き出し
背景を透過して書き出す方法
最後に、背景を透過させる方法は下記の記事をご参照ください。
まとめ
いかがでしたか?今回はシェイプをたくさんに使って刀で切られたようなスライスエフェクトアニメーションを解説しました。シェイプレイヤーは他にも様々な応用ができるので、色々と試してみましょう!