標準エフェクトで画像をモーフィング/Adobe After Effects、Photoshop

カズノコ(@kazunokoblog)です!
今回はなるべく予算をかけずに一枚の静止画をモーフィング(動きをつけること)させる方法について説明します。用意するのはPhotoshop CCとAfter Effects CCの編集ソフトと静止画のみです。テレビCMやミュージックビデオ等で、スローモーションでゆっくり人が動いているような演出をよく目にしませんか?感動的な演出ですよね。ということで今回は、簡単な静止画マップを使用して立体的で自然な動きを演出する方法について書いていきたいと思います。早速作っていきましょう。
もくじ
Photoshop CCでマップ画像を作成する
画像の読み込み(Photoshop)
まず、モーフィングさせたい画像素材をPhotoShop CCに読み込みます。
マップ画像を作る
今回は、ハトの静止画素材に自然な動きをつけていきます。そのために、After Effectsでエフェクトを適用するためのマップ画像(制御レイヤー)を作成します。半透明に設定し、ハトが透けて見えるレイヤーにして直接ブラシを使用して白〜黒でペイントしていきます。
まず中間色でハトの被写体部分を塗りつぶします。
ベースができたので、色を変えてレイヤーを重ねていきます。今回は、黒いほど遠く、白いほど近いようなイメージで塗っていきます。ベースのレイヤーの不透明度を下げて表示(今回は45%表示)して、レイヤーを重ねて色を塗っていきましょう。地図の等高線を書くようなイメージで書く箇所に合わせてブラシサイズを変えたり、追加したレイヤーの透明度を変えたりして作成しましょう。
最後に全てのレイヤーの不透明度を100%にあげるのを忘れないようにしましょう。一番下のレイヤーは黒の塗りつぶしを使用して元素材は非表示にしておきましょう。
次にレイヤーを統合します。
統合したレイヤーに対して、[フィルター<ぼかし<ぼかし(ガウス)]を適用し、カラーマップの境界をぼかしてなじませます。
ぼかしのサイズは使用している素材のピクセル数によって変わりますが、いい感じに馴染んでいればOKです。
完成したマップが下記の図です。
完成したマップ画像は[.psd]形式で保存しておきます。
After Effects CCでモーフィングアニメーションを作成
さて、次にAfter Effects CCでモーフィングアニメーションを作成していきます。
素材の読み込み、タイムラインに配置
まず、After Effects CCで新規コンポジションを作成し、タイムラインに元のモーフィングさせる素材とマップ画像を読み込みます。
この時、2つのレイヤーを見切れないように少し大きめにスケールを調整し、位置の調整をします。また、レイヤーの並び順は上から[モーフィングさせる元素材]、[マップ画像]の順にしておきましょう。
[ディスプレイスメントマップ]を適用する
次に、自然なモーフィング(動き)を演出するためにAfter Effects CC標準搭載のエフェクト[ディスプレイスメントマップ]を[モーフィングさせる元素材]に適用していきます。[エフェクト<ディストーション<ディスプレイスメントマップ]から適用することができます。
[ディスプレイスメントマップ]エフェクトの解説
[ディスプレイスメントマップ]を適用すると、下記のようなプロパティが出てきます。各プロパティの詳細は下記のようになっています。
① | マップレイヤー | ディスプレイスメントマップとなるレイヤーを選択し、使用する項目を[ソース]、[マスク]、[エフェクトとマスク]から選択し指定します。 |
② | 水平置き換えに使用 | 水平置き換えに使用するチャンネルを選択します。 |
③ | 最大水平置き換え | 水平置き換えを行う量を指定します。キーフレームを打って動きを作ることができます。 |
④ | 垂直置き換えに使用 | 垂直置き換えに使用するチャンネルを選択します。 |
⑤ | 最大垂直置き換え | 垂直置き換えを行う量を指定します。キーフレームを打って動きを作ることができます。 |
⑥ | ディスプレイスメントマップ動作 | [中央マップ]
レイヤー上にディスプレイスメントマップをブレンドします。 [マップを同一サイズに拡大/縮小]レイヤーのサイズに合わせてディスプレイスメントマップのサイズを変更します。 [分割マップ]レイヤー内に収まる最大数のマップのコピーでレイヤーを埋めます。 |
⑦ | エッジ動作 | [ピクセルをラップする]を選択すると、イメージのエッジ部分が置き換えられます。 |
⑧ | 出力を拡張 | [オン]にすると、レイヤーの境界を超えてエフェクトが適用されます。 |
[最大水平置き換え]と[最大垂直置き換え]にキーフレームを打ち、動きをつける。
[最大水平置き換え]と[最大垂直置き換え]をスクラブして、画面の変化を確認します。動かしたい値で2箇所以上にキーフレームを打つと、立体的なアングルでのモーフィングを作成することができます。今回は、[最大水平置き換え]のキーフレームは[11.0]と[2.0]に打ち、キーフレーム補間でイージーイーズをかけました。[最大垂直置き換え]のキーフレームは[-4.0]と[-7.0]に打ちました。境界に若干の違和感はあるものの、ムービングを作ることができました。
まとめ
今回は、Photoshopでマップ画像を作成し、その画像を元にAfter Effectsで静止画に自然な動きをつける方法を紹介しました。反省点として、マップ画像を作成する際、境界を少し広めに塗っておいたほうが境界の違和感は軽減されるかもしれません。
おまけ(選択チャンネルによる動きの違い)
After Effects CCの標準エフェクト[ディスプレイスメントマップ]のプロパティ項目のうち、[水平置き換えに使用]と[垂直置き換えに使用]では、[赤]、[緑]、[青]、[アルファ]、[輝度]、[色相]、[明度]、[彩度]、[フル]、[半分]、[オフ]の11個のチャンネルから選択することができます。これは、マップ画像の適用する種類を表しており、選択するチャンネルによって動きが異ります。例えば、[アルファ]チャンネルでは、色の変化の大きいところ(白と黒など)を中心に変化するため、被写体の細かい部分の動きは出ませんが、自然なカメラワークのような動きを作ることができます。色々と試してみて、素材に合ったチャンネルを選択しましょう。