SF風!音楽に合わせてウェーブワールドのマッピング/After Effects CC 2019

カズノコ(@kazunokoblog)です!
今回は、After Effects CCで、音楽に合わせてウェーブワールドのマッピングを行う方法について解説します。音楽に合わせてウェーブさせられると、下記のような利点があります。
- カッコいいSFチックなガイドラインがアニメートできる。(MVのワンカットで使えるかも!)
- エクスプレッションの基礎構文が理解できる。
- 「コロラマ」や「コースティック」などのエフェクトのマップとして使用できる。
先日「Ms.PROTEIN」(@msprotein1234)というバンドの方にリリックビデオを制作しました。こちらがその動画です。
ウェーブワールドを適用するだけでちょっと洒落たリリックビデオになったのではないでしょうか。それでは早速After Effects CCのエフェクト「ウェーブワールド」について見ていきましょう!
もくじ
ウェーブワールドを使って音楽に動きをリンクさせる
新規平面にウェーブワールドを適用
まず、After Effects CCを立ち上げて、新規コンポジションに平面レイヤーを作成しましょう。ウェーブワールドのガイド線は白色なので、今回はブラック平面を作成してみましょう。
それでは次に、新規平面レイヤーに対して[エフェクト<シミュレーション<ウェーブワールド]からウェーブワールドエフェクトを適用します。
適用すると、この時点でSF感のある立体ガイド線が誕生します。
この状態のまま再生すると、一定のリズムで波打っていくのがわかると思います。
音楽ファイルを読み込みオーディオ振幅のキーフレームを抽出
次に、音楽ファイルをコンポジションに読み込みます。[Command + I]でファイルを読み込むことができます。読み込みファイルの中に入ったオーディオファイルをコンポジションへドラッグします。
ウェーブワールドにリンクしたいオーディオファイルを選択した状態で[アニメーション<キーフレーム補助<オーディオをキーフレームに変換]を選択しましょう。
するとあら不思議。新しいレイヤーが出てきました!これが、オーディオファイルの音のレベルをキーフレームに変換する作業です。
スライダーを使用しオーディオのキーフレームをウェーブワールドにリンクさせる
今回は、オーディオ振幅の両方のチャンネルのスライダー (1フレーム毎に打たれているキーフレームのデータがある場所のことです)をウェーブワールドの[プロデューサー1<振幅]にピックウィップというくるくるマークを使ってリンクさせます。下記の図のようにリンクさせてみてください。※「ウェーブワールドの振幅」から「オーディオ振幅の両方のチャンネルのスライダー」へリンクさせることに気をつけましょう。
そうすると、ウェーブワールドを適用したレイヤーのウェーブワールド内プロパティである[プロデューサー<振幅]の箇所に、次のようなエクスプレッションが記入されます。
thisComp.layer("オーディオ振幅").effect("両方のチャンネル")("スライダー") |
これを簡単に日本語で説明すると、
このレイヤーのキーフレームは(オーディオ振幅)のレイヤーのエフェクト内(両方のチャンネル)のスライダーとリンクしています。 |
といった感じの意味です。これをそのまま再生すると、ほとんどの時間でぐちゃぐちゃのオーディオウェーブになります。※下図参照
この原因は、全体的な数値が大きすぎることです。これを解消するためには、エクスプレッションを書き直すことをする必要があります。エクスプレッションの基本的な構造を理解すれば簡単ですのでやってみましょう。まず、今回私の使用した音源「桜/Ms.PROTEIN」でのエクスプレッション完成形がコチラです。
a=thisComp.layer("オーディオ振幅").effect("両方のチャンネル")("スライダー"); b=a-46; [b] |
使ったのは、エクスプレッションの基本構文である「代入」と「引き算」だけです。下記のような命令をしているということになります。
「aという値に[オーディオ振幅のキーフレーム ]を入れて、bという値にその値から46引いた数を代入します。そして、[b]という値を出力してください。」
エクスプレッションでの構文として、文字に代入して、最終的に出力したい値を[]←で囲めばその値が出力されます。超基本構文が下図です。
このようにして値をいい感じのところまで引いていくと音楽に合わせて動くウェーブが完成します!
ウェーブワールドの各プロパティの解説
最後に、参考までに「ウェーブワールド」エフェクトの各プロパティの詳細について解説します。
①表示
コンポジションへの表示方法を選択します。
[高さマップ]:最高点を明るく、最低点を暗く表示するグレースケールイメージをマップします。ディスプレイスメントマップなどを作成する場合にこの表示を使用します。
[ワイヤーフレームプレビュー]:波が生成される様子を視覚的に描画して表示します。グレースケール出力は高さマップを示しており、白は一番高い波、黒は一番低い波にあたります。2つの長方形のアウトラインは、2つの極点を示しています。シアンの長方形は白の高さを、紫の長方形は黒の高さを表しています。緑のグリッドはグラウンドレイヤーです。初期設定では平面ですが、グレースケールをイメージを使用し、歪ませることができます。白いグリッドは水面を表しています。
②ワイヤーフレーム制御
ワイヤーフレームモデルの外観を調整します。(※グレースケールには反映されない項目です。)
[水平に回転]:水平方向に回転させます。左右の回転の角度をキーフレーム などで調整すると、左右方向(x軸で)回転します。
[垂直に回転]:垂直方向に回転させます。上下の回転の角度をキーフレーム などで調整すると、上下方向に(y軸で)回転します。
[垂直スケール]:垂直方向に大きくします。高さの確認をすることができますね。
③高さマップ制御
高さマップの外観を設定します。
[明るさ]:グレースケールの明るさを設定します。水面全体の高さを調整できます。
[コントラスト]:波の山部分と谷部分の差異の強弱を設定します。数値が大きいほど黒から白までの範囲が広がります。
[ガンマ調整]:明るさを基準に波のスロープを調整します。数値が大きいほど、山部分が丸くなり、谷部分が狭くなります。数値が小さいほど、山部分狭くなり、谷部分が広がります。
[乾いた領域をレンダリング]:乾いた領域が存在する場合に、水面のレンダリング方法を指定できます。グラウンドレイヤーの一部分が水面の上にはある場合、乾いた領域が作成されます。
[透明度]:水の透明度を設定します。浅い領域のアルファチャンネルの不透明度が調整されます。この制御の結果は、コースティックなどのエフェクトに使用することができます。
④シミュレーション
水面、グラウンドグリッドの解像度を設定します。
[グリッド解像度]:水面とグラウンドグリッドを構成する水平、垂直方向の目盛り数を指定します。数値が大きいほど、シミュレーションの正確性が高まります。
[グリッド解像度ダウンサンプル]:出力解像度を下げて、レンダリング速度を高めます。
[波形の速度]:波が開始点から離れる移動速度を設定します。
[減衰]:波の力が液体に吸収され、減っていく速度を設定します。数値が大きいほど、波の振幅が短くなります。粘性の強い液体を再現する場合は、数値を大きくしましょう。
[エッジの反射]:波がレイヤーのエッジに、はね返る際の、はね返る場所を指定します。
[プリロール(秒)]:波が動き始めるタイミングを設定します。初期設定では、波のない水面から始まるようになっています。
⑤グラウンド
グラウンドレイヤーの外観を設定します。
[グラウンド]:水底のレイヤーを指定し、内容を「ソース」、「マスク」、「エフェクトとマスク」から選択します。静止画のみ有効です。ムービーレイヤーを選択すると、最初のフレームのみが抽出されます。
[傾斜]:ワイヤーフレームの高さを設定します。
[高さ]:水面とグラウンドの距離を設定します。最も深い部分が設定されます。
[ウェーブ強度]:波の大きさを設定します。数値を0にすると、波は生成されません。
⑥プロデューサー1、⑦プロデューサー2
波の開始点を設定します。
[種類]:波形の種類を設定します。[リング],[ライン]から選択することができます。
[位置]:波の中心を設定します。
[高さ/長さ]:種類が[リング]の場合は波の高さ、[ライン]の場合は長さを設定します。
[幅]:水平方向の幅を設定します。
[角度]:波の角度を設定します。
[振幅]:波の高さを設定します。
[周波数]:1秒間に生成される波の数を設定します。数値が1の時、毎秒1回波が生成されます。
[フェーズ]:波が発生する際の開始点を設定します。初期設定0°では、凸状の波から発生します。
まとめ
今回は、After Effects CCの標準エフェクト「ウェーブワールド」を使用し、音楽に合わせて波の動きをアニメートする方法について解説しました。エクスプレッションの基本構文も合わせてまとめてみましたので、わからなくなった時は基本に立ち返りましょう!