カズノコ(@kazunokoblog)です!今回は、デジタル映像の基礎知識として、
「静止画(画像)と動画のファイル形式と特徴について」
解説します。オーディオ(音声の)のファイル形式については、別記事[音響基礎知識2/オーディオファイル形式と圧縮技術]で解説していますので合わせてご参照ください。
デジタル映像における基本知識と用語説明
静止画の仕組み
デジタル画像は「ピクセル」という最小単位の画素の集合体です。ピクセルは、「ドット」とも呼ばれています。データサイズが大きな画像になるほど、画像を構成する全体の画素(ピクセル)数が多くなります。デジカメなどで取り込んだ画像は、元が同じ写真でも10万画素のものと40万画素のものでは情報量が異なるため、ディスプレイで同じように見えても印刷機で印刷してみると40万画素の方が綺麗に印刷されることがあるのはそのためです。
ディスプレイ上で画像を表示する際、1インチの中に含まれるドット数を表す指標が「dpi(Dots Per Inch)」です。この値のことを「解像度」と呼びます。Macの場合はこのdpiを[システム環境設定<ディスプレイ<内臓ディスプレイ]で変更することができます。

当然解像度が高い数値であれば、画像は鮮明に表現できます。いわゆる画質が良いと言われるわけです。最近流行りの4Kや8Kテレビはこのディスプレイ設定の解像度が高く、性能が良いディスプレイのことを指しています。参考までに2K~8Kまでの解像度と主に使用されているディスプレイサイズをまとめてみました。
解像度(dpi) | 主なディスプレイサイズ | |
2K(フルHD) | 1920×1080 | 32インチ |
4K | 3840×2160 | 50インチ |
8K | 7680×4320 | 85インチ |
※ここからわかるように、どれだけ性能の優れたカメラで撮った、解像度の高い写真でも、出力するディスプレイによってそのパワーを発揮できない可能性があるという悲しい現実。Photoshopなどで写真編集をする際はズームしても画像がボケないといったメリットは多いです。
動画の仕組み
人間の残像現象を利用して、静止画を素早く切り替え表示することで動画ができています。静止画を切り替える回数のことを「フレームレート」と呼びます。基本的にフレームレートは1秒間に何枚の画像を使用するか、ということを表す数値です。単位はfps[frame per second]で表示されます。例えば「24fps」と表示される場合、「1秒間に24枚の画像が連続した動画」ということになります。参考までに下記に主に使用される場面の多いフレームレートをまとめます。
フレームレート | 主な使用用途 |
24fps | 映画 |
30fps/60fps | テレビ、ビデオ |
※上記の表はあくまで参考ですので、あえて演出上フレームレートを変更する場合もあります。
コンピューター・グラフィックスについて
PC上で取り込んだ映像や画像にさらに修正を加えたり加工したりする作業のことを広義で「コンピューターグラフィックス(CG)」と呼びます。2次元表現としては、アニメやテレビのテロップに使用されたり、三次元表現としては、動画技術や映像やテレビドラマ、メディアで最も必要とされている分野と言えるでしょう。CGには、どのように画像や映像を作り上げるかによって、様々な技法(ソフト)があり、通常その組み合わせによって一つのCGを合成することが多いです。
ここでは、コンピューターグラフィックにおける基本的な用語と技法については下記5点をおさえておきましょう。
・ワイヤー・フレーム
三次元の物体を骨組みとして切り出す方法です。ワイヤーフレームの構成次第で緻密な表現や動きが決定されます。CAM(Computer Aided Manufacturing)はその骨組みの情報として扱われています。現在のCAMシステムはWindows系をプラットフォームにしています。
・テクスチャーマッピング
仮想物体の表面のグラフィックデザインをする技法です。ワイヤー・フレームなどの三次元のオブジェクトの表面にグラフィックを貼り付けます。
・モーションキャプチャー
三次元の動きをセンサーで読み取り、CGに反映させるシステムです。動きをリアルに再現でき、その動きを別の映像でも置き換えることができます。
・モーフィング
2種類の画像を一定の規則に従って何枚かの画像でつなぐ方法です。最初の画像はあたかも溶け出したように変化し、モーフィング後の画像に変化し終わるまでまでアニメーションする手法です。
モーフィングは基本的に2枚の画像を規則的に変化させる方法ですが、Adobe After Effects(CG合成ソフト)とAdobe Photoshop(画像編集ソフト)を使用することで、1枚の画像からモーフィングさせる方法について、[別記事:標準エフェクトで画像をモーフィング/Adobe After Effects、Photoshop]で紹介していますのでご参照ください。
・インターレース
制作というより、インターネットで画像を表示させるための技法です。画像を走査線と呼ばれる細い帯状の行に区切って、偶数行から順に表示していきます。Webページ上で見ると、モザイクがかかった画像が徐々に現れ、表示が完了した時点で通常の画像になります。
静止画の圧縮の現状について
現在の通信環境では、画像のやりとりや、HPに画像を貼り付けるために容量が大きい画像や動画は操作のしやすさ等に影響してきます。しかし、5Gの移行によりこれからさらに改良されていくと予想できます。とは言いつつも、やはり現在の環境では容量の大きさはネックな問題となってきます。そこで、画像圧縮技術を使い、容量を極力小さく変換することで、送受信にかかる時間や表示にかかる時間を短縮することができます。静止画圧縮の方法や圧縮後に出力されるファイル形式によって、対応しているOSが異なる場合もあります。そこで、次の章では主な静止画(画像)ファイル形式とその特徴を一覧にしました。
静止画(画像)ファイル形式一覧
JPEG/JPG[.jpeg]
Joint Photographic Experts Groupの略で、JPEGと呼ばれるファイル形式です。JPEG形式は、インターネットの世界で最もポピュラーな画像形式です。特徴として、フルカラーである24ビットカラー(1677万色)を扱うことができることが挙げられます。この階調数はパソコン業界でフルカラーと認められる数値で、トゥルーカラーと呼ばれています。複雑な画像情報を平均化することでデータ圧縮しやすくするものですが、非可逆圧縮(元の素材に戻すことができない方法)であるため圧縮や伸張を繰り返すと、画質が落ちるという問題点があります。
※Windows/MacどちらのOSにも対応しています。
PNG/MNG[.png]
PNGはWWWの標準化を行う団体の「W3C」で作られた国際標準で、ファイル圧縮で有名なzip形式と同じアルゴリズムを用いて圧縮されています。GIFより圧縮率が高く、最大で280兆色(48チャンネル)まで使え、透明属性を複数持てます。また、可逆圧縮(完全に元通りに復元できるタイプの圧縮)なので、JPEGのように画質が劣化することがありません。また、ガンマ補正のパラメーターを持てるため、色調を厳密に合わせることができます。
※MNGは、PNGの特徴を色濃く反映していますが、実際に使用している場面はほとんどありません。MNGはPNGと性能はほとんど同等のものですので、名前だけ違うようなものです。
※Windows/MacどちらのOSにも対応しています。
GIF(Graphic Interchange Format)[.gif]
もともとは、アメリカの大手商用BBSのCompuServeによって採用された画像データフォーマットです。JPEG形式と同じようにカラー静止画を圧縮するため、ネットワーク向きであり、インターネットのホームページ作成に使われます。任意の色を透明色として扱うことできる「透明GIF」や、複数の画像を1つの画像のように扱い、順番に表示することで動画効果を生み出す「GIFアニメーション」という技術もあります。ただし、問題点として最大8ビットカラー(256色)にしか対応していないため、印刷には不向きです。
※Windows/MacどちらのOSにも対応しています。
BMP[.bmp]
Windows用グラフィックソフトのほとんどが対応しているため、データのやりとりがしやすいです。しかし、レイアウト系のソフトでは対応していないものもあるため、解像度出力には適していません。Windows環境では標準として扱われています。
PICT[.pict]
Macintoshの描画プログラムである「Quick Draw」が標準サポートしているフォーマットです。Macintosh用のグラフィックソフトのほとんどが対応しています。初期の白黒のものから、32ビットQuickDraw対応のフルカラーのものまで存在します。また、描かれたものをオブジェクトとして選んだり変形させたりできるドロー系のものからドット構成のものまで様々な形態のものに対応しています。
TIF/TIFF[.tif]
「Tagged Image File Format」の略で、ALDUSが提唱して普及させたフォーマットです。データにタグをつけ、そこに書かれたデータで画像を表現するものです。スキャナー用のソフトの多くが保存形式として採用しています。Macintosh,Windowsどちらでも対応しており、画像データのやりとりを行う場合に一般的な形式です。
EPS[.eps]
「Encapslated PostScript」の略で、DTP(Desktop publishing)で最も使われている形式です。プレビュー画像をつけることで、PostScriptデータをページやレイアウトやソフトなどに張り込んで利用できます。滑らかな表現を利用する場合に適しており、他のフォーマットに比べて高解像度出力に信頼度を持っています。多くのグラフィックソフトがサポートしており、商業印刷物を作る場合はこの形式が最も有効です。
WMF(Windows Metafile)[.wmf]
GDI(Graphic Device Interface)という描画ルーチン(Windowsの画面表示を行うもの)によって記述された形式です。Windowsの基本フォーマットの一つで、線や円、多角形といった画像の集合として扱うため、画像を拡大縮小しても画像が崩れにくいという特徴があります。しかし、問題点として、同じWMFでも様々なフォーマットが存在するため、ソフトによってトラブルが起こる可能性があります。出力する際はフォーマットまで確認するようにしましょう。
IVUE[.ivue]
一つの画像ファイルを使って目的に合わせて複数の解像度で編集作業ができるように作られているため、モニターやプリンターなどの出力機器の解像度に合わせて最適な解像度で表示/出力が行えます。そのままのファイル形式では表示・出力ができないため、各ソフトやデバイスで出力可能な形式に変換する必要があり、解像度が高くなればなるほど、マシンパワーを必要とします。
FlashPix
「LIVE PICTURE」、「EASTMAN KODAK」、「Microsoft」「HEWLETT PACKARD」のアメリカ4社が共同で開発したファイル形式です。基本的には[IVUE]と同じ使用だが、[IVUE]を更に発展させたファイル形式です。画像構成単位が小さく、モニターで表示された色とプリンターから出力されてくる色に大きな差が出ないような仕様になっています。そのままのファイル形式では表示・出力ができないため、各ソフトやデバイスで出力可能な形式に変換する必要があり、解像度が高くなればなるほど、マシンパワーを必要とします。
動画ファイルの圧縮方法
動画を圧縮・伸張するためのコーデックには様々な種類が存在します。そして、その性能には一長一短があります。動画は、映像データと音声データが1つになって初めて意味を持ちます。映像には映像のコーデックがあり、音声には音声のコーデックがあるため、それぞれを組み合わせたとき、無数のファイル形式が存在することになります。そこで、映像ファイルと音声ファイルを1つの入れ物(コンテナ)に入れることで1つのファイル形式として出力することになりました。以下ではそのコンテナとなるファイル形式を紹介します。
動画ファイル形式一覧
MPEG[.mpg/.mpeg/.mp2/.mp4]
ISO(国際基準化機構)の下部組織にあたる、Moving Picture Experts Groupという団体が標準化したデジタル動画と音声圧縮の規格です。この組織名から「MPEG」と呼ばれています。動画の場合、1コマ目のデータを元に2コマ目はそれと違う部分だけの差分を記録することで圧縮する方法です。あるタイミングで1枚分の画像を全て送り、それからしばらくはその画像との差分を送ることでネットワーク混乱時にも対応することができるというわけです。
・MPEG-1[.mpg/.mpeg]
データ転送レート1.5MbpsまでのCD、DAT、ハードディスクなどにおいて、動画に関連する音響を対象とした規格で、Video CDに採用されています。ほとんどのパソコンの標準環境で再生することができます。
・MPEG-2[.mp2]
MPEG-1を発展させた規格です。MPEG-1との違いは、MPEG-2ではDVDや一般のデジタルテレビ放送(4Mbps)からスタジオ用HDTV(70Mbps)までに対応する高品位な動画像を再現できるということです。
・MPEG-4[.mp4]
電話回線などによる低速動画通信での利用を目的として制定されたデジタル動画圧縮符号化の規格です。MPEG-4では、画像の符号化の向上に加え、画像を物体ごとに符号化できるオブジェクトベース符号化や、誤り耐性符号化などを大きな特徴としています。また、著作権保護にも対応しています。
Video for Windows[.avi]
Windowsで扱う動画と音声を取りまとめるための標準形式です。映像コーデック(DivX、XDIV、MPEG等)で圧縮された映像データと音声コーデック(MP3、OGG等)で圧縮された音声データをまとめて再生することができます。
Windows Media Video[.wmv]
Microsoft社の映像コーデックです。高画質・高圧縮で、WMA形式と共に普及が進められています。Windows Media Playerで標準サポートされているので、Windows環境ではそのまま再生することができます。その他の環境(Macやプレイヤー)で再生する場合、コーデックが必要です。
QuickTime(.mov)
ストリーミング機能やノンリニア・ビデオ編集キャプチャーやFlashとの連携など、機能拡張されています。Macでは標準環境で再生可能、Windowsでも対応しているものもあるが、昔のものだとコーデックが必要かもしれません。
OGM
音声データはコンパクトで高音質な「Ogg Vorbis」、可変ビットレートである「VBR」や「MP3」が使えることや、シークが軽いことが特徴です。
Matroska Video(MKV)
多チャンネル動画・音声・字幕などに強い動画と音声のコーデックです。カラオケのような字幕の色を変えるような機能があります。
Shockwave[.dcr/.dir/.dxr]
「Macromedia Director」というソフトで作成した動画ファイルを「Afterburner」というソフトでShockwaveファイルに変換します。
VDOファイル[.vdo]
「VDO Live small plugin」などで再生します。
VRMLファイル[.wrl]
Web上に3次元のオブジェクトを表示し、自由に角度を変えて表示します。再生には「Live 3D」「Cosmo Player」などのプラグインが必要です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は、画像と映像に絞ってファイル形式とその特徴について解説しました。少しでもお役に立てていただければ幸いです。カズノコ(@kazunokoblog)でした。
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