カズノコ(@kazunokoblog)です!
今回は、雨粒が水面に落ちた時の波紋をAdobe After Effects CCでアニメートする方法をお伝えします。映像、または写真でも良いのですが、水面を撮影した映像に自分で波紋を足せたらいい演出ができそう!この素材に雨を降らせたい!と思ったことはありませんか?今回はAdobe After Effects CCで簡単に雨つぶが水面に落ちた時の波紋の作り方と雨の降らせ方について解説したいと思います!下記のような合成動画を作ることができます!
雨つぶの波紋の作り方
雨粒の波紋を作る方法はCC Drizzle というAfter Effects CC に標準装備されているエフェクトを使用します。一つのエフェクトの適用で意外と高品質な素材に早変わりしてしまうのでこれはいいですね。早速行ってみましょう!
CC Drizzle の使い方
さて、「CC Drizzle」とはなんなのか!前述もしましたが、雨粒が水面に落ちる波紋をアニメートするためのエフェクトです。雨粒が水面に落ちるような多数の波紋をイメージ上に表示します。波紋の量や速さ、大きさなどを設定することができます。このエフェクトは、自動的にアニメートされます。
早速After Effectsにアニメートしたい素材をコンポジションに読み込み、「CC Drizzle」を適用してみましょう!「エフェクト<シミュレーション<CC Drizzle」からエフェクトを適用できます。

適用すると、下記のようなプロパティが出てきます。

各プロパティの詳細は以下の通りです。
① | Drip Rate | 波紋の量を設定します。数値が大きいほど多くの波紋が生成されます。 |
② | Longevity (sec) | 波紋が発生してから消えるまでの時間(寿命)を設定します。 |
③ | Rippling | 波紋の輪の数を設定します。 |
④ | Displacement | 波紋の歪みを設定します。 |
⑤ | Ripple Height | 波紋の高さを設定します。 |
⑥ | Spreading | 波紋の広がりを設定します。 |
⑦ | Light | ライトの設定を行います。
「Using」 使用するライトを「Effect Light」、「AE Light」から選択します。「AE Light」はCS6以降で使用可能です。(Cycare FX HDバージョン) 「Light Intensity」 ライトの強さを設定します。 「Light Color」 ライトの色を設定します。 「Light Type」 ライトの種類を選択します。「Distant Light」、「Point Light」から選択することができます。 「Light Height」 レイヤーとライトの距離を設定します。数値が大きいほど距離が近くなります。 「Light Position」 「Point Light」を選択している場合に、ライトの位置を設定します。 「Light Direction」 ライトの方向を設定します。 |
⑧ | Shading | 陰影の設定を行います。
「Ambient」 環境光の強さを設定します。 「Diffuse」 拡散を設定します。 「Specular」 ハイライトの強さを設定します。 「Roughness」 ハイライトの広がりを設定します。 「Metal」 ハイライトの色で質感を設定します。数値が大きいほどハイライトに元のイメージの色が多く使用され、数値が少ないほど「Light Color」で設定した色が多く使用されます。 |
上記のプロパティを考慮した上で雨粒のアニメーションを作成すると、下記のようなものを作ることができました。

雨粒を拡大してみるとこんな感じです。

めっちゃ波紋ですね。ちなみに各プロパティは下記のような感じになりました。
Drip Rate | 0.8 |
Longevity (sec) | 1.11 |
Rippling | 1x + 0.0 |
Displacement | 20.0 |
Ripple Height | 100.0 |
Spreading | 69.0 |
Light | Using:Effect Light
Light Intensity:100.0 Light Color:白 Light Type:Distant Light Light Height:65.0 Light Direction:-45 |
Shading | Ambient:100.0
Diffuse:0.0 Specular:100.0 Roughness:0.015 Metal:100.0 |
さて、次はこれを水面にだけ適用するために周りの部分をカットして行きましょう。
水面の領域に合わせて雨粒の波紋をカットする方法
「CC Drizzle」は、素材そのものに直接アニメートするエフェクトですので、アニメートした部分の一部をカットしたりするためにはこのアニメーションのみのレイヤーを作り、素材に適用された「CC Drizzle」を非表示にしておく必要があります。
調整レイヤーを作成
アニメーションのみのレイヤーを作成するために、雨粒アニメーションのみを記憶させた調整レイヤーを作成します。まず調整レイヤーを作りましょう。調整レイヤーはレイヤーのワークスペースにカーソルを当てておき、「レイヤー<新規<調整レイヤー」をクリックすることで作成することができます。

調整レイヤーを作成したら、そこに素材に適用していた「CC Drizzle」を調整レイヤーにコピーアンドペーストします。


さてそれではエフェクトが重複しないように元の素材の(先ほどコピーしたもの)「CC Drizzle」を非表示にしておきます。エフェクトの非表示は、fxボタンをクリックします。下記画像を参照ください。

さあ、これでアニメートしている部分と背景素材が分離しました。それでは調整レイヤーを水面に合わせてマスキングしていきましょう。マスキングするには、ペンツールが便利です。

ペンツールで波紋を広げたいところだけをマスキングします。この時、エッジで波紋が欠けないように水面とそれ以外の場所の境界を少し離してマスキングするのが良いと思います。

あとは、マスクのエッジを少しぼかして完成です。今回は[5.0pixel]ぼかしました。

注意
波紋の丸みに角度をつけることはできませんでしたのでご注意ください。調整レイヤーを3Dレイヤーにし、x座標の角度を調整して丸みに角度をつけられるかを試してみたのですが、残念ながら波紋の形自体を変形させることはできませんでした。下記画像参照

ですので、マクロな素材を使用する場合、上からのカメラアングルでのものでないと違和感が出ます。今回の素材の場合は水面までの距離があるので、波紋の大きさを小さくすることでごまかせそうでした。
降っている雨の作り方
さあ続いては、降っている雨を自動的にアニメートする方法をご紹介します。降っている雨もエフェクトを使用して一発で生み出すことができます。「CC Rainfall」というAfter Effects CC標準搭載のエフェクトを使用して作っていきましょう。
CC Rainfall の使い方
早速適用していきましょう。コンポジションに雨を降らせたい素材を読み込み、素材に対してエフェクトを適用させます。「CC Drizzle」と同様に「CC Rainfall」も素材に直接アニメートするエフェクトです。「エフェクト<シミュレーション<CC Rainfall」で適用することができます。

適用した時点でよく見ると雨が降っている状態になっています。さて、適用するとプロパティが出てきます。

各項目の詳細は下記の通りです。
1 | Drops | 雨粒の量を設定します。数値が大きいほど量が増え、激しい雨になります。 |
2 | Size | 雨粒の大きさを設定します。 |
3 | Scene Depth | 雨の奥行を設定します。 |
4 | Speed | 雨が降る速度を設定します。数値が大きいほど雨が速く降ります。 |
5 | Wind | 風の影響を設定します。数値が大きいほど雨に角度がつきます。この設定はすべての雨粒に影響します。 |
6 | Variation%(Wind) | Windのプロパティで設定した風のランダム度を設定します。 |
7 | Spread | アルファチャンネルを持つレイヤーにエフェクトを適用する際、雨がオブジェクトの前に降るか、後ろに降るかを設定します。数値が小さいほど、雨はオブジェクトの後ろ側に表示されます。 |
8 | Color | 雨粒の色を設定します。[Background Reflection]を使用した場合、この色が反射色と合成されます。 |
9 | Opacity | 雨粒の透明度を設定します。どれだけの割合を占めるかの設定です。 |
10 | Background Reflection | 雨粒への背景の反転(または屈折)を設定します。
「Influence %」 背景の光の屈折度を設定します。数値が大きいほど、雨のColorの色が濃くなります。 「Spread Width」 背景の反射の量を設定します。 「Spread Height」 背景の反射の高さを設定します。 |
11 | Transfer Mode | 雨粒と背景の合成モードを[Composite]、[Lighten]から選択します。 |
12 | Composite With Original | オンにすると背景の上に雨粒表示されます。オフにすると、雨粒のみが表示されます。 |
13 | Extras | 高度な設定を行います。
「Appearance」 雨粒の外観を[Refracting]、[Soft Solid]から選択します。[Refracting]は雨粒の側面が屈折するため中心が透明に表示され、[Soft Solid]は雨粒全体が同じような透明度で表示されます。 「Offset」 雨が降る位置を設定します。移動するカメラワークの映像に適用する場合、雨の振り方が動いているようにをアニメートできます。 「Ground Level %」 雨が落ちて消える地面の高さを設定します。 「Embed Depth %」 背景のどの奥行まで雨を降らせるかを設定します。[Transfer Mode]で[Composite]を選択、[Composite With Original]がオンになっている場合に使用できます。 「Random Speed」 全てのランダムな値を使用するプロパティのランダム度を設定します。 |
今回は、少し強めの通り雨のような感じにしてみました。

参考までに下記が今回の各項目の詳細です。
Drops | 200 |
Size | 15.00 |
Scene Depth | 5000 |
Speed | 3180 |
Wind | 0.0 |
Variation%(Wind) | 0.0 |
Spread | 6.0 |
Color | 白 |
Opacity | 88.0 |
Background Reflection | 「Influence %」:80.0
「Spread Width」:150.0 「Spread Height」:15.0 |
Transfer Mode | Lighten |
Composite With Original | オン |
Extras | 「Appearance」:Soft Solid
「Offset」:(712.4/1604.7) 「Ground Level %」:100.0 「Embed Depth %」:100.0 「Random Speed」:0 |
今回の「CC Rainfall」と同じような機能のエフェクトで「CC Snowfall」というエフェクトがあります。「CC Snowfall」は、雨ではなく雪を降らせるエフェクトです。最後に調整レイヤーで色調を全体に馴染ませるとさらに違和感なく合成する事ができます。
まとめ
今回は、After Effects CC 2019の標準エフェクト「CC Rainfall」「CC Drizzle」を使用して、雨が落ちた時の波紋と雨が降っている表現のアニメーションの作り方について解説しました。一手間加えるだけで表現はガラッと変わるものだと思います。また、今回扱ったエフェクトのプロパティの表記は基本的に英語ですので、わからなくなった時に是非振り返りに来てください。
[…] 参考:https://kazunokoblog.com/cc-drizzle-adobe-after-effects-cc-2019/ […]